魔法の金庫   No.025

小学2年生の頃、私はバスを待つ時間、バス停の周りで数人の友達とよく遊んでいた。

 

あれは私達がバス停の裏にある空き地で、昆虫やカエルを捕まえて遊んでいた時のこと。

 

私達は捕まえ始めて30分程で、各々が持参した虫かごに結構な数の昆虫やカエルを集めた。

しかし時間が過ぎ、もう少しでバスが来るという時間になる。

私達は遊びをやめて、虫かごの生き物を空き地に戻すことにした。

その時、友達の一人が言う。

「せっかく集めたのだから、どこかに隠しておこう」

私達は皆その案に賛同し、隠しておく場所を探した。

すると誰かが、空き地の隅に捨ててある金庫を見つけた。

 

その金庫は、大きさがちょうどランドセルくらいで、金属製のダイヤル付き金庫だったと思う。

鍵は壊れていて、簡単に開け閉めすることができ、おそらく金庫の持ち主が壊れたので空き地に不法投棄したものだろう。

 

金庫の中には何故か未開封のタバコの箱が5,6個入れてあった。

それは今では、捨ててあった金庫の中に、不良少年達がタバコを隠したと分かるのだが、その時小学2年生の私達は「誰かがタバコの入った金庫を捨てた」と間違った解釈をした。

 

そして私達は、タバコを取り出しその辺に捨て、金庫の中に虫かごの昆虫とカエルを全て入れて帰った。

 

次の日、私達はバス停の裏の空き地に再び行き、金庫を開けた。

 

するとどうだろう、金庫の中の昆虫とカエルは全ていなくなり、代わりに取り出しその辺に捨てたはずのタバコが入っているではないか。(タバコを拾い集めた不良少年達の事を想うと少し泣けてくる。あぁ金庫を開けた時の彼らの悲鳴が今にも聞こえそうだ)

 

当時純真無垢な小学2年生の私達は、不思議に思い考える。

しばらく考えていると、友達の一人が「もしかして、これは魔法の金庫かもしれない」と言い始めた。

私を含め他の全員が笑い馬鹿にしたが、念のため確かめようと話し合い、もう一度タバコをその辺に捨て、昆虫とカエルを捕まえ金庫に入れて帰った。

 

そして翌日、金庫を開けた私達は驚愕する。

 

なんとまた金庫の中の昆虫とカエルは全ていなくなり、代わりに捨てたはずのタバコが入っているではないか。

 

それから、私達はこの不思議な現象に夢中になった。

 

次の日もまた私達はタバコを捨て、昆虫とカエルを魔法の金庫に入れて帰ったのだ。

 

そして私達のこの行為は、不良少年達がタバコの隠し場所を変えるまで繰り返されたのであった。