パチンコ依存症  No.016

あれは確か前の前のその前の会社で働いていた時のことだった。
(こう書くと、私が職を転々とし何事も長続きしないダメ人間みたいだが、実際はダメな会社が多いことが原因である)

 

その時、私は会社の寮に住んでいた。
部屋は2LDKで20代後半の男性と二人で住んでいた。
その男性には問題があった。
問題とはパチンコ依存症である。


彼は休みの日には金が続く限り必ずパチンコ店に行き、パチンコ、スロットに興じていた。
他人が自分の金でいくら遊ぼうが私の知ったことではないのだが、負けると機嫌が悪くなり、私に愚痴をこぼしたり、酔っぱらって夜中に大声を出したりするので非常に迷惑していた。


帰ってきては「また負けた、何故勝てない?」と大声で喚く。
私はそれを聞いて「何故行くのか?」と思う。
またある時は「あの店は絶対にインチキをしている」と叫ぶ。
しかし、そう言いながら次の休みにはまた同じ店に足を運ぶのだ。
5万勝っては、自分を天才といい。
自分より遥かに優れた頭脳の持ち主である私の「また負けてなくなるから、もう行くのをやめた方がいい」という助言を無視する。
そして見事に本物の天才である私の予言の通り、負けて全財産を失う。

 

一番記憶に残っているのは、ある月の給料日の日。
その日は休みで、彼は朝からパチンコ屋に出かけていた。
そして夜帰ってくるなり、私に土下座をして「金を貸してくれ」と頼んだ。
彼はなんとその日の内に給料の全てをパチンコとスロットで失っていたのだ。
私は給料日に全財産失う人間の気持ちが理解できなかった。
私は彼に言った。
「金は貸せない。君はこれを機に反省して金の使い方を考えるべきだ。お金が必要なら、他の人間に頼んでくれ。私は君を甘やかすつもりはない」
彼は私の言葉を聞くと、実家の親に電話をし、正直に理由を言って、後日親からお金を借りた。
そしてこの事をきっかけに、彼はお金の使い方を改めた。

 

私が彼にお金を貸さなかった事で彼は生まれ変わったのだ。
だから、あの日私が別のパチンコ店で給料の半分を失って、彼にお金を貸せなかった事もあながち無駄ではなかったのである。